接骨院・整骨院の買収を検討する方向けに、費用相場、手続きの流れ、注意点、最新の業界動向を網羅的に解説する専門情報サイトです。

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接骨院の買収価格の相場(規模別)

接骨院買収の費用相場と企業価値(バリュエーション)の決まり方


接骨院の買収価格は、規模と収益性で大きく変わります。個人経営の小規模院であれば数百万円〜1,500万円程度がボリュームゾーン、複数店舗を展開する法人であれば数千万円〜数億円規模になるのが一般的な水準です。


規模別の買収価格レンジ


規模想定年商買収価格の目安主な取引形態
個人経営・1院(院長のみ、または1〜2名体制)800万〜2,000万円数百万円〜1,500万円程度事業譲渡
小規模法人・1〜2院(スタッフ3〜6名)2,000万〜6,000万円1,000万〜5,000万円程度株式譲渡または事業譲渡
中規模法人・3〜5院1億〜2億円数千万円〜1億円超株式譲渡
多店舗展開法人・6院以上2億円以上数億円規模株式譲渡
※上記はあくまで一般的なレンジであり、収益性、自費比率、人材構成、立地によって上下します。赤字院や院長依存が強い院は、これを下回る価格や、極端なケースでは無償に近い譲渡になることもあります。

価格算定の基本式——年買法(年倍法)


中小規模のM&Aで最も広く使われるのが、次の計算式です。


> 買収価格 = 時価純資産 + 営業利益の1〜3年分(のれん代)


「営業利益の何年分」を掛けるかが交渉の核心です。将来にわたって同じ利益が続く確度が高いほど倍率は上がり、不確実性が高いほど下がります。


計算例:スタッフ4名・年商4,000万円の1院
  • 資産(内装・機器の時価、保証金、現預金):600万円
  • 負債(リース残債、未払金):200万円
  • 時価純資産:400万円
  • 役員報酬を適正額に修正した後の実質営業利益:500万円
このとき、のれん代を営業利益の2年分と評価すれば、

400万円 +(500万円 × 2年)= 1,400万円


が価格の一つの目安になります。倍率が1年なら900万円、3年なら1,900万円と、同じ院でも評価は倍以上に開きます。


ここで重要なのが営業利益の正常化です。オーナーの役員報酬が過大・過少になっていないか、私的な支出が経費に混ざっていないか、逆に本来必要な人件費が計上されていないか——これらを補正した「実力ベースの利益」で計算しなければ、価格の議論そのものが成立しません。


価格を押し上げる要因・引き下げる要因


プラス評価につながる要因マイナス評価につながる要因
自費診療の売上比率が高い保険診療への依存度が極端に高い
施術者が複数名在籍し、院長不在でも回る院長1名に売上が集中している
リピート率・回数券の継続率が高い新患数が数年にわたり減少傾向
駅近・幹線道路沿いなど視認性の高い立地賃料が売上比で過大、契約更新の不安がある
| Googleマップの評価・レビュー件数が良好 | ネガティブな口コミが継続的に投稿されている |
| カルテ・レセプトの管理が整備されている | 部位数が多い、長期・頻回施術の傾向が顕著 |
| 労務管理(雇用契約書、勤怠、社保)が適正 | 未払い残業代や社会保険未加入の疑いがある |
| 交通事故施術や労災の取扱い実績がある | 特定の紹介元・提携先に売上が依存している |

買収価格以外にかかるコスト


見積もりを立てる際は、譲渡対価だけを見ていると資金がショートします。


  • 仲介手数料:着手金、中間金、成功報酬(レーマン方式が一般的)。小規模案件では最低手数料が設定されていることが多く、数百万円単位になる場合があります。
  • デューデリジェンス費用:公認会計士・税理士・弁護士・社会保険労務士への調査依頼費用。規模により数十万〜数百万円。
  • 登記・契約関連費用:株式譲渡の場合の役員変更登記、事業譲渡の場合の各種名義変更費用。
  • 運転資金:療養費は請求から入金まで2ヶ月前後かかることがあり、引き継ぎ直後は入金が細くなります。最低でも3ヶ月分の固定費を確保しておきましょう。
  • リニューアル費用:看板の付け替え、内装の部分補修、レセコンや予約システムの入れ替え。
  • PMI関連費用:スタッフ研修、新メニュー導入の教育、統一ユニフォーム、販促物の刷新。

買収資金の調達方法と資金計画の立て方


買収資金は自己資金だけで賄う必要はありません。事業実績のある院を買う以上、金融機関にとっても審査しやすい案件になります。


主な調達手段


  • 日本政策金融公庫の融資:創業や事業承継を対象とした融資制度があり、比較的低い金利水準で利用できるケースがあります。個人が接骨院を買収する際の第一候補になりやすい選択肢です。
  • 民間金融機関のM&A関連融資・事業承継ローン:地方銀行や信用金庫が、事業承継案件向けの融資を扱っています。地域密着型の金融機関ほど、地元の接骨院案件に理解を示す傾向があります。
  • 信用保証協会の保証付き融資:事業承継に関する保証制度を利用できる場合があります。
  • 公的補助金の活用:中小企業の事業承継・M&Aを対象とした補助制度が用意されている年度があります。専門家活用費用や設備投資費用の一部が補助対象となることがあるため、公募時期と要件を必ず最新の公式情報で確認してください。
  • セラーファイナンス(分割払い):譲渡対価の一部を売り手への分割払いとする方法。売り手にとっては引き継ぎへの協力インセンティブにもなります。
  • アーンアウト条項:買収後の業績が一定水準に達した場合に追加対価を支払う仕組み。将来の不確実性が高い案件で、双方のリスクを分担できます。

融資審査で見られるポイント


金融機関に提出する事業計画書では、次の点を数字で説明できるようにしておきましょう。


  1. 買収対象院の直近3期の実績(売上、営業利益、患者数の推移)
  2. 買収後の収支計画(保険・自費の内訳、想定単価、来院回数)
  3. 返済原資の根拠(営業キャッシュフローから返済額を差し引いた余力)
  4. キーマンの残留計画(院長・主要施術者を何年、どのような条件で引き留めるか)
  5. 買い手側の経験(同業経験、店舗運営経験、異業種の場合はどうシナジーを出すか)
  6. 自己資金の割合(一般に、総額の2〜3割程度を自己資金で用意できると説得力が増します)

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